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家の歴史を物語る古き良き建具を再利用。和と洋が美しく融け合う快適同居の二世帯住宅/横浜市 K様邸/REFORM OWNER'S REPORT vol.17家の歴史を物語る古き良き建具を再利用。和と洋が美しく融け合う快適同居の二世帯住宅

歴史が息づく住まいを完全分離型の二世帯住宅に
親世帯は玄関までスロープにしてバリアフリー化

大正時代以前から代々受け継がれてきた歴史が息づくK様邸。広大な敷地内には樹木が豊かに茂る庭を隔てて、蔵や納屋も建てられています。今回、ご長男一家と快適に同居するために、鉄筋コンクリート造のご自宅を完全分離タイプの二世帯住宅にリフォームされました。1階・親世帯は安心して暮らせるよう、バリアフリーにも配慮。元洋室だったスペースを利用して新たに親世帯の玄関を設け、将来、車椅子の生活になっても出入りしやすいよう、玄関まで長いスロープを設けました。

8畳の和室をくつろぎに満ちた和モダンな書斎に
書斎の続きには膨大な蔵書が収まる書庫も誕生

1階・親世帯のお住まいの見どころは、二間続きの和室のリフォーム。大学院教授であり、海外からの賓客を招くことも多いK様にとって、落ち着いた書斎兼応接間は必需スペースです。そこで庭に面した和室を縁側の一部として取り込み、障子が美しい和洋折衷の広い書斎空間に。そして隣接していた小部屋を膨大な蔵書が収められる書庫としてリノベーションしました。趣味のクラシック音楽やオペラや映画などのDVDもここに保管されています。

スロープ

桜や灯籠の景観を生かしつつ造られたスロープ。

和モダンにの書斎

和モダンに生まれ変わった広い書斎。奥には大容量の書庫を完備。


「書斎には大学院関連の大切な客人も頻繁に訪れるので、応接間のようにゆったりと設えてもらいました。一部を床の間のある畳スペースにして座卓を置き、床座のくつろぎも取り入れています。ここの壁にも本棚を造作してもらったので、蔵書がたっぷりとしまえてうれしいですね」とK様。ソファに座ると雪見障子から庭の眺めが楽しめるのもお気に入りです。

リフォーム前

リフォーム後

ゆったりとソファーに座りながら、お庭を眺めることができます。

引戸と欄間

引戸と欄間を開けると、部屋の広がりを感じることができます。

書斎から続く和室は仏間とクローゼットに
愛着のある古いケヤキの建具は引戸に再利用

書斎から続くもうひとつの和室は、4畳半の仏間に変えました。見逃せないのが、存在感のある間仕切りの引戸や仏間の扉です。これは古くからあるケヤキの一枚板を使った貴重な建具を再利用したもの。引戸とその上の障子の欄間は戸袋に隠せる設計で、開けると視界がすっきりと美しく伸び、いっそう部屋の広がりを感じることができます。
「ケヤキの建具は大正時代のもので、なかにはヒビが入っている板もあります。でも、それも味わいですね。昔の建具は板を厚めに切り、天日にさらして乾燥させ、腐ったところは削り落として、これ以上反らない芯の部分だけを使っているので、ヒビが入っていても丈夫ですから問題はありません」とK様は語ります。さらに玄関正面のアクセントウォールなども、旧家の天井板を丁寧に解体して再利用しました。このように既存の古い材をうまく生かしたのもK邸のリフォームの見どころです。

玄関収納や天井板

玄関収納や天井板など、旧邸で使用していた建材を再利用。

親子それぞれのこだわりを
しっかり叶えた住まいに
「快適な二世帯同居の暮らしが実現できました」

K様は棟梁の仕事ぶりにも大満足のご様子。「眠っていた旧家の下地材をうまく再利用して、大工さんが神棚になる社の模型も造ってくれました。釘を一切使わず精巧に造られていて、まさに匠の技。腕の良さを改めて感じましたね」と笑顔で語ってくれました。
 一方、2階のご長男のお住まいは、がらりと雰囲気を変え、白を基調にしたシンプルモダンな空間に。オープンキッチンの明るく広々としたLDKは、勾配天井がひときわの開放感を生んでいます。家の歴史を大切にしつつ、親子それぞれの好みやこだわりを叶えて、快適な同居生活を実現されたK様ご家族。理想の二世帯住宅の暮らしがここにありました。

釘を使用していない社

旧家の下地材を使い、釘を一切使わずに造られた社。

白基調のLDK

白を基調にした息子様ご夫婦LDK。ベランダのウッドデッキから、お庭が一望できます。

横浜市/K様邸
2016年7月竣工  設計:建築計画工房
設計
齋藤 友幸
現場監督
大舘 秀章
コーディネート
水谷 操子