●民泊宿泊事業者様からのご依頼。箱根駅伝ゴール近くに2棟建ての旅館が建築されます。
●外観デザインは和モダンを基調にデザインされています。
●温泉引込工事させて頂く、温泉旅館となります。

打ち合わせ

箱根関所近く、箱根新道「芦ノ湖大観」出口より芦ノ湖湖畔、ご計画地は観光地の中心部に位置します。

箱根駅伝ゴール芦ノ湖駐車場です。コロナ禍が続く中での状況ではありましたが駐車場には数多くの観光客がいらっしゃいました。

計画地を芦ノ湖駐車場から見ています。

基礎

いよいよ着工の日を迎えました。
建物の土台となる基礎工事を進めるに当たり、基礎の位置、高さ等を出す為に、木杭と貫を使用して「遣り方(やりかた)」を実施しました。

遣り方を基に「根切」という掘削工事に着手しました。
この時までは天候もよく順調に工事が進んでいきました。

根切の次は「砕石地業」です。
砕石を敷き詰めてランマーで付き固めます。
しかしながら根切が終わった当たりから連日、写真の通り 雨と霧の中の作業です。

地面からの湿気を防ぐ為、砕石の上に防湿フィルムを敷き込み、基礎外周部に「捨てコンクリート」を打設。
その後、基礎外周部の型枠を組んだ所です。
連日の雨のせいでこの捨コンを打設するまでに何回も工事がストップとなりました。

配筋工事が完了した全景です。
ご覧の通り 全長約20mもある建物です。ここまで長い戸建ては私も初めてです。

ベースのコンクリート打設中です。
箱根町には生コン屋さんが1社しかなく、事前にミキサー車の予約をしておかないと、当日 頼んでもほぼ来てくれません。
毎日 現場の鳶さんと週間天気予報、雨雲レーダーとにらめっこしながら打設日を決めました。幸いにも打設中は雨が降らずに作業ができ、ホッとしました。

基礎の立ち上がり部の型枠を施工した所です。
この日も雨でしたが、鳶さんは「遅れている工期を少しでも早める為に出来る事をやるよ」と土砂降りの中、合羽を着て作業して下さいました。感謝です。

基礎立ち上がり部のコンクリート打設、及びレベラーの施工が完了しました。
レベラーとは 基礎の天端が平らになるようにトロトロのセメントのようなものを流し入れるものです。
この日も雨の切れ間を狙って打設。ヒヤヒヤものでした。

型枠の解体、玄関等の土間コンクリートの打設も終わり、長かった基礎工事がやっと完了となりました。
厳しい条件の中、綺麗な基礎が出来上がりました。

上棟

上棟に先立ち、まずは「土台敷き」です。
大工さんが基礎の上に土台を据えていきます。
建物の端から端までの距離が約20mもあり、少しのズレがより大きく影響してしまうので、基礎完成時に鳶さんが記した基準墨を基にきちんと確認しながら土台を据えていきました。

土台敷きが完了し、床下断熱材を敷設する為の金具を設置しました。
大工さんの作業1日目はここで終わりです。
ちなみに、土台や柱、梁には「番付け」とよばれるものが印字されています。
木造住宅では「いろは歌」が用いられる事が殆どです。
いろはにほへとちりぬるを わかよたれそつねならむ うゐのおくやまけふこえて あさきゆめみし ゑひもせす
X方向、Y方向の一番最初にくる番付けが「い」の「1」番となります。
「一番最初」、「真っ先に」等の意味の「いの一番」という言葉はここから来ているようです。

大工さんの作業が完了した後、1回目の防蟻処理です。
土台の上に「剛床」と言われる厚さ24mmの構造用合板を敷く都合上、その前に土台、大引き、床下に防蟻材を散布します。

日曜日を挟んで翌10日。
床下の断熱材を敷き詰めます。
この断熱材も工場でプレカットされたものを搬入しておりますので、図面通りの場所に敷き詰めていきます。続いて剛床を敷き、釘で固定。
柱、梁を間配り、ブルーシートで雨養生をし、あとは上棟当日に備えます。

いよいよ上棟 当日です。
大工さん9名、クレーンのオペさん1名 の 総勢10名で作業を行いました。
まずは番付け通りの位置に柱を立てていきます。

柱を立てたあとは1階の梁を架けます。
継手のオス、メスを確認し架けていく順番を決め、1本ずつクレーンで吊り上げながら架けていきます。
継手同士はある程度 きつめに加工されているので「スポッ」とは入りません。
なので写真の通り「カケヤ」と呼ばれる大きな木槌で叩いて入れ込みます。
梁の片側だけ叩いてしまうと反対側が入らなくなってしまうので、梁の両サイドをバランス良く叩きます。大工さん同士の阿吽の呼吸です。

建物が長い為、クレーンが半分までしか届きません。
ですから半分から奥は人力により作業を進めていきます。
いわゆる「手起こし」です。
息の合った大工さん達なので、半分はクレーン、半分は手起こしといった具合に手際よく作業が進んでいきます。

梁が架け終わったら「羽子板ボルト」の締め付けです。
文字通り羽子板のような形をした構造用のボルトで梁と梁を緊結します。
ちなみに梁の幅は105mm(10.5cm)、1階の床から約2.9mの高さの上を当たり前のように歩いています。

羽子板ボルトの締め付け完了に続いて今度は「剛床」の敷き込みです。
「剛床」とは厚さ24mmの針葉樹合板です。
「剛床」工法は床の剛性を高める事により建物の強度を上げるという発想、根太を無くす事による作業の効率化、省資源化、上棟等作業中の転落防止などといった事で各住宅メーカー、工務店が採用している工法です。
例えば、靴の箱を思い浮かべて下さい。蓋を開けた箱は横から押すなどの力を加えると簡単に歪んでしまいます。しかし、蓋をした箱は簡単には歪みません。
だから「剛床」って大事なんです。

プレカットされた構造材で組み立てているとはいえ、柱が垂直に立っているとは限りません。
なので大工さんが主要箇所に「風防下げ振り」と「立ち起こし」と呼ばれるジャッキを使用し、柱を垂直に補正していきます。
下げ振りの目盛で垂直を確認したら「仮筋交い」で固定します。
とっても重要な作業です。

1階と同様 2階も柱を立て、梁を架けていきます。
写真に写る大工さん。何気なく梁の上に しゃがんでいるように見えますが、地面からの高さは約6mです。

続いて「小屋組み」です。
2階の梁、桁の上に「小屋束」という短い柱を立て、その上に「母屋」、「棟木」を架けます。
ここまで来ると建物の形らしくなってきます。

いよいよ大詰めです。
屋根垂木が架かりました。
この後、「通気スペーサー」という吹付断熱用の部材を取付け、野地板の施工に移っていきます。

垂木の鼻(先端の切り口)とケラバ(一番端の側面)に「捨て破風」、
垂木の端の上部に「広小舞」を打ち付け、野地板を敷き釘打ち機で打ち付けます。

弊社は建物を雨に濡らさないという大方針があります。
上棟の完了時には皆で建物をブルーシートでスッポリ覆います。
長いようで短い一日が終わりました。
芦ノ湖付近は小田原市より気温が2~3度低いとはいえ、
真夏の炎天下の中、作業して下さった大工さんには感謝です。